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トップ > メドック地区 第1級のビンテージワイン > シャトー・ラトゥール[シャトー紹介・醸造工程]

シャトー・ラトゥール

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シャトー紹介・醸造工程

“塔”がシンボルの1級シャトー

ラトゥール
現在の塔(鳩小屋)と、木陰にあるシャトー [拡大]

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正面から見た鳩小屋 [拡大]

1855年のパリ万博に行われた格付けの際に、わずか4つしかない1級シャトーに選ばれていたのが、シンボルの“塔”が有名なシャトー・ラトゥールです。シャトーの名称も“塔”という意味ですし、ラベルにも塔のイラストが描かれており、まさにこの塔がラトゥールのシンボルとなっています。

この塔は、当時の領主の許しを得て、1300年代中頃には要塞として築かれていました。当時の歴史書で、フロワサールが記した「年代記」にも登場していて、百年戦争の降伏協定まではイギリスの支配下におかれていた歴史もあります。

しかし、よく見てみるとラベルに描かれている塔と現在の塔は、どこか違っていることに気付きます。実は、要塞として建てられた塔はすでに撤去されていて、現在目にすることが出来るのは、17世紀に建てられた「鳩小屋」なのです。しかし、今なおシャトーのシンボルとして人々から愛されていることに変わりはありません。

ラトゥールの評価が高まったのは、18世紀初頭に、“葡萄の王子”と呼ばれたニコラ・アレキサンドル・ド・セギュール侯爵の所有となった頃でした。セギュール家は、同じく後に1級シャトーと格付けされた【ラフィット】なども傘下に収めていて、シャトー【マルゴー】を除いたメドックの有名シャトーは、全てセギュール家が所有する時期もありました。

彼の死後、所有者は移り変わっていきましたが、シャトーへの高い評価は失われること無く、現在でも世界中のワイン愛好家から愛され続けているのです。

ジロンド川など、地形の恩恵に恵まれて

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ジロンド川から眺めるシャトー全景 [拡大]

ポイヤック地区最南端、丁度サンジュリアンの境界線のところにやって来ると、シャトー・ラトゥールのブドウ畑を囲む石垣が見えてきます。サンジュリアンの境界線に向かって傾斜したこの畑は“ランクロ”と呼ばれ、ラトゥールの中でも最も重要な一帯です。

この地域は、わずか300メートルほどしか離れていないジロンド川の影響を受けやすく、“畑の過度の温度変化を防ぐ”という恩恵を受けています。1991年4月にボルドー地方を襲った霜は、平均70%のブドウの新芽を破損してしまうという大きな被害をもたらしました。しかし、このランクロの畑は、ジロンド川からの暖かい空気のおかげで、わずか「30%」の損害にとどまりました。良質なブドウを安定して収穫するため、この川が重要な役割を果たしているのです。

この畑の表土は「約60センチ〜1メートル」あり、ピレネー山脈とフランス中央高地からのギュンツ氷期の砂利が多く含まれています。これは非常に大きめの砂利であるため、排水が良く、その下の層にある泥灰岩性の粘土へと必要な水分をもたらします。また、夏の間には、太陽熱によって温められた砂利がブドウへと熱を反射させます。夜間も熱を保ち続けるため、ブドウは適度に暖められ、成熟が早まる効果があるのです。ラトゥールの畑は合計で「78ha」ありますが、そのうちの「47ha」がこのランクロの地形となるのです。

ラトゥールの畑全体では、3つの品種が植えられています。85%を占めるカベルネ・ソーヴィニヨンの多くは、ランクロの上部の、水はけの良い砂利質の表土で構成されている部分に植えられています。14%のメルローは、傾斜部の下側、表土の砂利層が上部と比べて少し薄くなる区画を与えられ、1%のプティ・ヴェルドは、シャトー【ピション・コンテス】の隣の畑に植えられています。以前は畑の2%を占めていたカベルネフランの区画は、現在は抜根されており、畑を休ましている最中なのだそうです。

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害虫の発生を防ぐホルモン入りのカプセル [拡大]
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鳩小屋は今でもシャトーのシンボルとなっています [拡大]
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ブドウ畑の地図。ランクロは写真右側部分 [拡大]

敢えて昔ながらの手法を残す

D2号線から、ランクロの中をジロンド川方面へずっと進んでいくと、2001年から改装工事が行われ、真新しくなった醸造所が見えてきます。

畑の中を通っていると、所々のブドウの木に青いプラスティックのテープが巻きつけられているのが目立ちます。これは、まだ樹齢が若いブドウの木を区別するためで、収穫の際に間違って混じってしまわないようにするための目印なんだとか。ブドウの木の植え替え作業は、どのシャトーでも毎年行われるものですが、ここまで品質の管理を徹底しているのは珍しいと言えるでしょう。

この畑で手摘みで収穫されたブドウは、“カジェット”と呼ばれる8キロ入りの収穫カゴに潰れないように入れられて、醸造所の東側の部分へと運ばれます。そこの2階に収穫口があり、わざわざそこまでリフトを使って持ち上げて、2階にある選果台で選果が行われることになります。

こうした作業をあえて2階で行っているのは、ちゃんと理由があります。後にブドウをタンクに搬入する工程では、ビスを回してブドウを押し上げる方式としているシャトーが増えてきています。しかし、この方法では、ポンプの圧力でブドウに余計なストレスを与えてしまったり、種が潰れてしまうというリスクも付きまとうのです。これを避けるため、ラトゥールでは敢えて重量だけに頼ってタンクへ搬入するという、昔ながらの方法を採用しているのです。

最新のコンピューターで温度管理

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ラトゥールのステンレスタンク [拡大]

この2階部分で、2回の選果が行われます。1回目では病果・不良果・葉などの除去し、2回目に除梗機で取りきれなかったり、切れてしまったりした果梗を取り除くのです。この作業の後に、ブドウは合計「66基」あるステンレスタンクの中へと搬入されて、アルコール発酵が始まります。

ラトゥールのタンクは、166hl-139hl-121hl-106hl-101hl-82hl-64hl-21hl-20hl-12hlと、サイズが非常に豊富です。また、胴型と台形型、双方のタンクがあり、実にバラエティーに富んでいます。これにはもちろん理由があって、区画のスペースに合わせてタンクも特注で作らせているためです。こうすることによって、より小さな区画の醸造の際にも、ワインが過度に酸化しなくなる効果があるそうです。

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このテーブルで温度管理をしています [拡大]

タンクが並んでいるところには、タンク自体の温度や、タンクの部屋全体、樽貯蔵室など、全体の温度調節を行うコンピューターを制御するテーブルがあります。発酵中のタンクは、品種やその区画の樹齢によって微妙に異なりますが、約28℃前後に保たれているのだとか。以前は、「ステンレスタンクは外気の影響を受けやすく温度管理が難しい」と言われていたこともありましたが、ラトゥールでは室温をコントロールし、さらにタンクを半地下の場所に作ることでそうした欠点を補っているのです。

こうして適温が保たれたタンクでは、アルコール発酵、続いて2次発酵である果皮浸漬が3週間かけて行われます。その後、一時的にフリーランジュースと粕帽に分けて、フリーランジュースはタンクの中で、粕帽から絞って得られるプレスワインは新樽の中でマロラクティック発酵を行います。

その後、フリーランは、11社から購入されている、アリエールとニエーブル産のオークから作られた新樽(内側の焼付けはミディアムとミディアム・プラス)に入れられて、約18ヶ月の熟成に入るのです。さらに、3ヶ月に1度の澱引き、卵白を使用してのコラージュを行ってから、自社製の機械で瓶詰めされてようやく完成となります。

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手前が2番目の選果台。その向こうにステンレスタンクがあります [拡大]
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1年目の樽貯蔵室 [拡大]
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瓶詰めされたワインのストックルーム [拡大]

特筆されるべき“シャトーの清潔さ”

実際にラトゥールを見て、真っ先に特筆すべきなのは“シャトーの清潔さ”という点でしょう。いつ伺ってもタンクはピカピカ、床は常に濡れていて、常に清掃された後のように清潔に保たれているのです。シャトーが建て直されてまだ施設が新しいというのも理由の一つでしょうが、ラトゥールのスタッフの方々が特に衛生面に気を使っている証拠でしょう。

また、非常に大きなサイズの「ブレンド用タンク」を所有している点も、ラトゥールの特徴です。容量の大きなタンクを所有していないシャトーの場合、アルコール発酵に使用するタンクの中でいくつかに分けてブレンドをすることになるのですが、どうしてもタンクごとに多少の味の違いが出てしまうものなのだそうです。大きめのタンクで一度にブレンドすることで、ワインの味をすべて均一化しばらつきが出ないように、と配慮されているのです。

ラトゥールは、日本では【ムートン・ロートシルト】【マルゴー】のように派手に取り上げられることは少ないシャトーです。しかし、多大な投資の末に刷新された醸造設備や、スタッフの皆さんの衛生面での配慮を目にしていると、今後より一層の発展を続けることは間違いでしょう。

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綺麗な試飲ルームからはラトゥールとレオヴィル・ラスカーズの畑が見えます [拡大]
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「24万リットル」という巨大なブレンド用タンク [拡大]
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ラトゥールの広報であるソニアさんとの試飲風景 [拡大]
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