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トップ > メドック地区 第1級のビンテージワイン > シャトー・オー・ブリオン[シャトー紹介・醸造工程]
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シャトー紹介・醸造工程 |
1550年に正式に誕生したシャトー・オー・ブリオンは、当時からボルドーでも優れたワインを生み出すシャトーとして知られていました。後に、その名声をさらに広めるために、海外市場のイギリスへ進出します。1666年、ロンドンの居酒屋で供されたオー・ブリオンは大きな評判となり、特定の畑名で売り出された最初のボルドーワインとなりました。その後、様々な変遷を経ながらも、今なお第1級のシャトーとしてワイン愛好家からの尊敬を集めています。
ボルドー市内から、近年、高級住宅地として人気が高いぺサック地区方面へ、車で約15分ほど向かうと、途中の街中にオー・ブリオンのブドウ畑が見えてきます。ブドウ畑は「48ha」の赤用と「2.7ha」の白用のみで、その規模は1級シャトーの中では最も小さなものとなっています。
マンションや給水塔、住宅地に囲まれ、ゆったりと傾斜した斜面は沢山の砂利が混じった土壌です。まるで“都会の中にぽつんとある菜園”といった雰囲気のあるオー・ブリオンのブドウ畑ですが、この立地がワインの味わいに大きな影響を与えているのです。
オー・ブリオンはボルドーの都市部に近いので、メドックの平均よりも2℃ほど気温が高くなります。このため、その分だけブドウの成熟も早く進み、ボルドーのどのシャトーよりも早く収穫できるのです。通常、メドック地区の収穫は9月中旬に始まるのですが、オー・ブリオンだけは8月終わりから収穫が始まることもあるほどなのです。実際、2005年には白は「8月24日」から、赤は「8月29日」から収穫が始まっていて、他のシャトーの「9月15日」と比べても2週間以上も早かったそうです。
秋口にかけて雨の多い季節になりますが、早く収穫できることの最大のメリットは、この雨の影響を受けにくくなることです。雨に当たってしまうと、せっかく成熟したブドウの糖度を低下させてしまう上に、灰色カビ病という病気を引き起こす可能性が高まってしまいます。9月中旬〜下旬にかけては、雨に悩まされやすい時期で、それまでは良い天候が続いて、ブドウが成熟してしたにも関わらず、収穫時期の雨のために平凡なヴィンテージになってしまった、そんな年も沢山あったほどなのです。
赤用のブドウ畑には、メドック地区やグラーブ地区で多く使われているカベルネ・ソーヴィニヨンが45%と最も多く、その次にメルロー37%、カベルネ・フラン18%の3種類が植えられています。白用のブドウ畑には、グラーブとしては珍しく、ソーテルヌ地区の主要品種であるセミヨンが63%、ソーヴィヨン・ブランが37%植えられています。
恵まれた気候環境の下で収穫されるオー・ブリオンのブドウですが、それでも病果や不良果というものも存在します。これらを取り除く選果は、醸造所に運ぶ前にブドウ畑の中で手作業で行われていて、健全なブドウだけをより分けて醸造所に運び、収穫口に入れられます。
ここからオー・ブリオンらしい、近代的で合理的なシステムのベルトコンベアに乗ることになります。収穫口に入れられたブドウは、まずはそのままそこで重量を測った後、ベルトコンベアに乗って除梗機へと運ばれていきます(白の場合はベルトは反対方向に動き、そのまま圧搾機にかけられることに)。除梗機でブドウの粒と果梗に分けられると、そのままブドウの粒は下に落下。除梗機の下に備え付けられた破砕機で少しだけ潰された後、ポンプを使って23基ある2層式のステンレスタンクへと運ばれていきます。
この2層式ステンレスタンクは、オー・ブリオンのオリジナルのものだとか。現在のシャトーの管理者であるジャン・フィリップ・デルマス氏の父であり、オー・ブリオンの改革者でもあるジャン・ベルナール・デルマス氏考案のもので、91年より使用しているそうです。
このタンク上部では、アルコール発酵と果皮浸漬が行われ、下部ではマロラクティック発酵を行っています。上部で果皮浸漬が終わった後、上部タンクの扉にチューブを取り付けることによって自動的に果汁が下部へ移る仕組みになっていて、扉内部にはブドウの実、果皮、種が出てこないように特殊な金属を取り付けてあるため、果汁のみが移されるのです。
タンク上部では、28〜30℃の温度を保ちながら発酵を続けていく間、6時間に1回ずつ“ルモンタージュ”と呼ばれる作業を繰り返します。これは、下部の果汁を一旦抜き取って、上部にポンプで上げて、発酵中に果汁から分離してしまった粕帽(ブドウの実、果皮、種)へとシャワーのようにかける作業です。これによって、色素とタンニンの抽出を行い、粕帽上部が乾いてしまうのを防ぐ目的があるのです。
通常、このルモンタージュの作業は、一度タンクの外に設置された大きな洗面器のようなものにワインを移して行うところが多いのですが、合理化のため、全てコンピューターで管理しています。このシステムが出来たおかげで、夜中にわざわざパジャマ姿で起きてくる必要も無くなったとか。
こうして、アルコール発酵と果皮浸漬、マロラクティック発酵を終えた12月下旬頃から、ブレンド作業が始まります。
通常、ほとんどのシャトーでは、一度品種ごとに分けて樽の中で熟成を行い、業者向けの先行予約販売「プリムール」が始まる前の2月頃にブレンドをするか、もしくは樽の中での熟成が終わり、瓶詰め直前に行うものです。しかし、オー・ブリオンでは、“樽香によって本来果実が持つ香りが隠されないように”という理由から、樽に入れる前にブレンドを行うのだとか。
この樽にも、オー・ブリオンらしいこだわりがあります。それは大手樽会社「セガン・モロー」と提携して、シャトー内で樽の組み立て、焼付けを行っていることです。
大手樽会社の中には、焼付けを行う職人が沢山いるのですが、同じミディアムに焼かせても人によって品質にバラつきが出てしまうことは避けられません。これによってワインにつく香りが微妙に異なってしまうというのです。このためオー・ブリオンでは、わざわざシャトー内で、たった1人の専門の職人に焼かせることで品質の安定を狙っているのです。
「1つのヴィンテージで必要とされる新樽の全て」という訳ではありませんが、黙々と働く無口な樽職人さんが、そのほとんどを一人で行っているというのだから驚きです。同様の樽工房は、【マルゴー】【ラフィット】【スミス・オー・ラフィット】などでも見受けられますが、オー・ブリオンほど徹底しているところは少ないかもしれません。
オー・ブリオン内で組み立てられたフレンチオークの樽の中で、約18〜20ヶ月間の熟成が行われます。熟成中の澱引きは3ヶ月に1度、伝統的にローソクを使って行っていて、5回目の澱引き前に卵白を使った“コラージュ”と呼ばれる清澄作業をします。最後に瓶詰めされ、世界中への出荷の時を迎えるのです。
1550年から始まる歴史の中で、オー・ブリオンは常にワインの歴史に革命を起こしてきました。
初代オーナーのポンタック家はワイン作りに始めて、澱引き、樽熟成中に目減りしたワインを補う“ウイアージュ”というテクニックを取り入れました。これによって、以前とは比べ物にならないほど品質が上がったようで、17世紀イギリスでは「ニュー・フレンチ・クラレット」と呼ばれてもてはやされたそうです。
また、1961年に他のシャトーに先駆けてステンレスタンクを導入したのも、ここでした。決め手は「温度管理のしやすさ」「清潔に保つことが容易である」といった理由からで、常に進歩的な改革を行ってきたオー・ブリオンらしい合理性だと言えるかもしれません。
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