ブドウ栽培に魅せられた男爵
1853年、イギリス系の男爵であったナタニエル・ドゥ・ロートシルトは、「シャトー・ブラーヌ・ムートン」と呼ばれていたシャトーを購入し、シャトー・ムートン・ロートシルトと名づけた。偉大なシャトーの歴史の始まりである。
しかし、当時から素晴らしいブドウ畑があったにも関わらず、家族の誰もがブドウ栽培に興味を示さなかった。しかし1922年、現オーナーのフィリピーヌ・ドゥ・ロートシルトの父、男爵フィリップがこの土地に魅了され、ブドウ栽培を一生の仕事にしようと決めた。彼はその後の65年間、このシャトーの管理をし、強烈な個性と計画性、革新のセンスを発揮して、ムートンを一流シャトーの仲間入りさせることになる。
独創的なアイディアを次々と実現
1924年、彼はそれまで行われていなかった「瓶詰め」をシャトーで行った先駆者となった。さらに1926年には、今日では有名となった、100mを超える巨大な貯蔵庫を建て、周囲の人々を驚かせた。
そして1945年、フランスの解放を祝うため、彼はその年の“ラベルをふさわしいデザインで飾る”という、独創的なアイディアを思いつく。それをきっかけに、ミロやシャガール、ブラック、ピカソ、ウォーホール、デルヴォー、ベーコン、バルテュス、タピエスなど、数々の有名画家がラベルをデザインし、個性的なラベルコレクションの始まりとなった。
1962年には、ブドウ畑やワイン作りに用いられた貴重な品々を集めたワイン博物館をオープン。ムートンは観光のメッカとなり、毎年、何千人もの訪問客を魅了するようになる。
そして彼は、1855年に2級シャトーとして格付けされていたムートンを、1級シャトーへと格上げするための運動を始めた。旧弊や既定の順位と戦うこと20年、1973年にようやくムートン・ロートシルトは1級シャトーと認められた。
1988年、偉大なフィリップは死去し、娘であったフィリピーヌがシャトーを受け継ぎ、現在に至っている。









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