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トップ > メドック地区 第1級のビンテージワイン > シャトー・ムートン・ロートシルト[シャトー紹介・醸造工程]
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シャトー紹介・醸造工程 |
1973年に2級から1級へと昇格し、毎年、ミロやシャガール、ウォーホールなどの有名画家がラベルをデザインすることでも知られているのがムートン・ロートシルトです。1級シャトー【ラフィット】と隣接した非常に良いブドウ畑を所有していて、世界の最高級のワインシャトーの一つと見なされています。
ムートンという名前の由来は、シャトーのトレードマークも「牡羊」であることから、“ムートン(羊)”だと思っている方が多いようです。しかし、実はこの地方の古い言葉で“mothon”(現在のフランス語で motte=土塊の意)が訛ったものなのだそうです。牡羊のマークは、先代のオーナーであるバロン・フィリップが牡羊座生まれだったことと、すでに多くの人から誤解されていたため洒落で採用したのだとか。
ムートン・ロートシルトの輝かしい歴史は、1922年、男爵フィリップがこの地に魅了され、ブドウ栽培を一生をかける決意をしたところから始まりました。彼の革新的なセンスによって、シャトーは改革を続けたのです。
今では当たり前のこととなっていますが、1924年に、それまでは行われてなかった瓶詰めを最初に行ったのも彼でした。また、今日でも有名な100mを超える大きな貯蔵庫を建てて、訪問者の名所としたのも彼のアイディアです。そして1945年、フランスの解放を祝うために、“その年のラベルを相応しいデザインで飾ろう”という、詩的で独創的なアイデアを思いつきます。これは、有名画家によって毎年描かれるラベルコレクションの始まりとなりました。後にワイン博物館をオープンさせて、数多くの観光客を集めたのも彼の功績でしょう。
そして彼は、1855年に2級シャトーとして格付けされていたムートンを、1級シャトーへと格上げするための運動を始めます。旧弊や既定の順位と戦うこと20年、1973年にようやくムートン・ロートシルトは1級シャトーと認められたのです。
【ラフィット】のシャトー南側に広がる、丘になったブドウ畑。この辺りは「海抜27メートル」と、メドック地区では比較的高い場所にあり、ポイヤックの中にある“3つの偉大なブドウ畑”と呼ばれる地域です。
(他の2つは、【ラトゥール】や【ピション・ロングヴィル】などがあるポイヤックとサンジュリアンの境界線近く、そしてもう一つはランシュバージュの畑が広がるバージュの丘です)
ムートンの畑は「80ha」の広さで、その土壌は主に砂利質です。カベルネ・ソーヴィニヨンが植えられている一番良い区画の辺りでは、この砂利質が7〜8メートルにも達しているのだとか。一方、丘陵部の下部では表土の砂利質の層が薄く、すぐに粘土に達するところもあるのだそうです。
カベルネ・ソーヴィニヨンが80%と、非常に高い比率で植えられていて、残りは10%のカベルネ・フラン、8%のメルロー、2%のプティ・ヴェルド。やはり、メルロー向きの表土が薄く粘土にすぐ達する土壌よりも、カベルネ・ソーヴィヨン向きの水はけの良いところが圧倒的に多いのでしょう。
平均樹齢は約45年で、一部では樹齢100年近いブドウの樹も残っているそうです。平均すると1haあたりに8,500本のブドウの樹が植えられていることになります。
ブドウの栽培には、必要な時にしか肥料や農薬を使わない「リュット・レゾネ」という方法が取り入れられています。また、現在では多くのシャトーが利用している、“カジェット”と呼ばれる容量の小さい収穫カゴを他に先駆けていち早く用いたのもムートンでした。
ここの収穫の特徴は、収穫に参加する人数が「約300人」と、非常に多いことです。大人数でブドウを素早く収穫し、万が一の雨からの被害を避けるため、人海戦術で一気に作業を進めてしまうのです。選果をしながら手摘みで収穫されたブドウは、カジェットを積み重ねて、潰れないように大切に運ばれます。
醸造所に到着すると、すぐに1番目の選果台へと移されて、選果と除梗された後に、再度選果台へと戻されて2回目の選果が行われます。そうして健全なブドウの粒だけを選り分けた後に破砕して、28基のフレンチオーク製の発酵タンクに入れられます。
ここでも、【マルゴー】と同じように、ステンレスタンクは所有していますが、これを使用するのは一部の果汁のマロラクティック発酵とブレンドの時だけなのだそうです。
ムートンでも近年、一部で低温マセレーションを取り入れていて、果汁によっては18℃で最大2日間の発酵前のマセレーションを行い、ワインの色がより濃いものになるようにしています。
アルコール発酵中は温度を28〜30℃に保ちながら、1日約3回のルモンタージュを繰り返して、発酵が終了すると「3週間」という比較的長めの果皮浸漬を行います。その後フリーランジュース、プレスジュースの中から、全体の約10%に当たる果汁を選び、樽の中でマロラクティック発酵を行います。残りはタンク内で行われます。
その後、最低で80%、ヴィンテージによっては100%のフレンチオークの新樽に入れて、熟成を行っていきます。この樽は自社では作っていませんが、「合計12社」と非常に多彩なバリエーションを持たせているのもムートンの特徴でしょう。



発酵タンクが並ぶ部屋の隣は、ちょうど1年目の樽貯蔵室になっています。1926年に先代のオーナーのバロン・フィリップ氏によって作られた「横25m、奥行き100m」という巨大な樽貯蔵室は、彼のアートに対するこだわりなのだそうです。非常に面積が大きいため、ここには樽を2段に積み上げなくても合計1,000樽も入れれることが出来るのです。このため、見た目にもすっきりとしていて、とても美しく感じられます。
ここで約6ヶ月間の熟成と2回の澱引きの後にブレンドが行われ、その後、1920年代に作られた、地下にある2年目の樽貯蔵室にワインは移されます。
この地下樽貯蔵室に入ると、真っ先に目に入るのが壁一面に生えているカビです。実際に樽が置かれているところは、壁に特殊な塗料が塗られているために、全くカビは生えていませんが、オーナーのプライベートカーブがあるところなどは、もう壁一面のカビなのです。それだけ湿度が高く、ワインにとって適した環境であることを表しているのですが、初めて見る方にとっては衝撃的な場面かもしれません。
ここでワインは約12ヶ月間の熟成をされます。その間にも3ヶ月に1回の澱引きを行い、卵白によるコラージュが行われます。
ちなみに現在では、この卵白によるコラージュは、EUの法律によって以前のように自由に行えなくなっています。まず申請が必要で、EUからの許可が下りて初めて行うことが出来るのだとか。他の有名シャトーと同様に、ムートンでは2006年も申請を行い、許可が得られたとのことです。
ようやく熟成を終えたワインは瓶詰めされ、世界中のワイン愛好家の手元へ送り出されていくのです。
ムートンのワイン作りとは、【マルゴー】や【ラフィット】ほどではないにしても、まだオーク製のタンクを使っているあたりなどは、やはり“伝統的”だと言えるかもしれません。
やはり、ムートンを語る上で特筆すべきことは、ワイン作りもさることながら、アートに対して非常に気を使っている点でしょう。醸造所の中にも所々にアートのオブジェが置かれ、建物内には先代のオーナーによって作られた美術館まであるのです。また、まだ自分の目では確かめたことはありませんが、上空からシャトーを見てみると、何と建物が“牡羊の横顔”に見えるように配置されている、というのですから驚きです。
「ワインはアートだ」という人が多いのですが、まさにムートン・ロートシルトこそ“アート”という言葉が一番ぴったりするのかもしれません。
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