シャトー・ムートン・ロートシルト Château Lafite-Rothschild

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シャトー案内

Ch Mouton-Rothschild
シャトー・ムートン・ロートシルト

生産地
メドック地区 ポイヤック
シャトー
シャトー・ムートン・ロートシルト
タイプ
赤/フルボディ/凝縮感溢れる男性的なワイン
格付け
メドック1級
栽培品種
カベルネ・ソーヴィニヨン80%、メルロー8%、カベルネフラン10%、プティヴェルド2%

各ワイン評論家からの評価 (★…1点/☆…0.5点)
ロバート・パーカー (第4版) ★★★★ (4点/4点満点中)
ヒュージョンソン (第5版) ★★★★ (4点/4点満点中)
ル・クラスモン (2006年度版) ★★★ (3点/3点満点中)
ゴー・ミヨー (2006年度版) ★★★★★ (5点/5点満点中)

100年以上も変更されることのなかった1855年のメドックの格付け。それを覆し、第1級に格上げされた唯一のシャトーが、シャトー・ムートン・ロートシルトです。それだけに、その実力は並外れたものなのです。

ユダヤ系の大富豪ロートシルト家(英語読みでロスチャイルド)がこのシャトーを買収したのは、1853年のことでした。ところが、その2年後のメドックの格付けで、必ず1級を取ると思われていたムートンは、2級に格付けされてしまうのです。これに奮起したロートシルト家は、「1級にはなれないが2級には甘んじれぬ、ムートンムートンなり」と言い放ち、畑、醸造技術、熟成方法などに改良を加え、1級になるために様々な働きかけを行っていきました。

そして、実に118年後の1973年、4世代にわたる努力の末、ムートンは悲願の昇格を果たしたのです。その時、「われ1級になりぬ、かつて2級なりき、されどムートンは昔も今も変わらず」という名句を残したという、有名な逸話が残されています。

ここのワインの人気の一因として、アートなラベルの存在も挙げられるでしょう。1945年以降、毎年、著名なアーティストにラベルを飾る絵を依頼していて、ダリ(58年)、ミロ(69年)、シャガール(70年)、ウォーホル(75年)など、豪華なアーティストが描いたラベルの数々は、見ているだけでもうっとりする美しさで、コレクターも多いのです。

このラベル・コレクションの火付け役であるフィリップ・ド・ロートシルト男爵は、1922年から、独創的なアイデアでシャトーの改革を続けた、大胆不敵なカリスマ的人物でした。今では当たり前のこととなっている「ワインを瓶詰めする」ということを最初に行ったのも彼だったのです。

ムートンは、五大シャトーの中で最も“豪勢”“派手”と言われています。ラフィットの優雅さ、マルゴーの女性らしさ、ラトゥールの男性的な力強さなどとは一線を画し、濃厚で芳醇、ふくよかで肉づきがよくリッチな味わいです。そして、深くてエキゾチックな魅力もあり、10〜15年、じっくり瓶の中で熟成させていくと、獣肉のような艶めかしさが現れてくるという、とても魅惑的なワインなのです。

年によって異なる、とても美しいラベルを持つムートンは、特別の日に飲んだり、贈り物にも最適のワインでしょう。記念日や誕生日の年、思い出の年のものであればより一層楽しめることでしょう。ぜひ、美しいラベルと共に、ゆらゆらと香り立つ魅惑的なムートンの魔力に酔いしれてみてください。

シャトー紹介・醸造行程

1級へと格上げされたシャトー

  • 1973年に1級へと昇格した際の証明書1973年に1級へと昇格した際の証明書

1973年に2級から1級へと昇格し、毎年、ミロやシャガール、ウォーホールなどの有名画家がラベルをデザインすることでも知られているのがムートン・ロートシルトです。1級シャトー【ラフィット】と隣接した非常に良いブドウ畑を所有していて、世界の最高級のワインシャトーの一つと見なされています。

ムートンという名前の由来は、シャトーのトレードマークも「牡羊」であることから、“ムートン(羊)”だと思っている方が多いようです。しかし、実はこの地方の古い言葉で“mothon”(現在のフランス語で motte=土塊の意)が訛ったものなのだそうです。牡羊のマークは、先代のオーナーであるバロン・フィリップが牡羊座生まれだったことと、すでに多くの人から誤解されていたため洒落で採用したのだとか。

ムートン・ロートシルトの輝かしい歴史は、1922年、男爵フィリップがこの地に魅了され、ブドウ栽培を一生をかける決意をしたところから始まりました。彼の革新的なセンスによって、シャトーは改革を続けたのです。

今では当たり前のこととなっていますが、1924年に、それまでは行われてなかった瓶詰めを最初に行ったのも彼でした。また、今日でも有名な100mを超える大きな貯蔵庫を建てて、訪問者の名所としたのも彼のアイディアです。そして1945年、フランスの解放を祝うために、“その年のラベルを相応しいデザインで飾ろう”という、詩的で独創的なアイデアを思いつきます。これは、有名画家によって毎年描かれるラベルコレクションの始まりとなりました。後にワイン博物館をオープンさせて、数多くの観光客を集めたのも彼の功績でしょう。

そして彼は、1855年に2級シャトーとして格付けされていたムートンを、1級シャトーへと格上げするための運動を始めます。旧弊や既定の順位と戦うこと20年、1973年にようやくムートン・ロートシルトは1級シャトーと認められたのです。

  • 「グランムートン」と呼ばれる建物 「グランムートン」と呼ばれる建物
  • ムートンとボルドーワインの歴史の中でも多大な貢献をしたバロン・フィリップムートンとボルドーワインの歴史の中でも多大な貢献をしたバロン・フィリップ
  • 旅行者などに積極的に開放しているムートンらしく、ワインを購入できるショップも旅行者などに積極的に開放しているムートンらしく、ワインを購入できるショップも

“3つの偉大なブドウ畑”の一つ

【ラフィット】のシャトー南側に広がる、丘になったブドウ畑。この辺りは「海抜27メートル」と、メドック地区では比較的高い場所にあり、ポイヤックの中にある“3つの偉大なブドウ畑”と呼ばれる地域です。

(他の2つは、【ラトゥール】【ピション・ロングヴィル】などがあるポイヤックとサンジュリアンの境界線近く、そしてもう一つはランシュバージュの畑が広がるバージュの丘です)

ムートンの畑は「80ha」の広さで、その土壌は主に砂利質です。カベルネ・ソーヴィニヨンが植えられている一番良い区画の辺りでは、この砂利質が7〜8メートルにも達しているのだとか。一方、丘陵部の下部では表土の砂利質の層が薄く、すぐに粘土に達するところもあるのだそうです。

カベルネ・ソーヴィニヨンが80%と、非常に高い比率で植えられていて、残りは10%のカベルネ・フラン、8%のメルロー、2%のプティ・ヴェルド。やはり、メルロー向きの表土が薄く粘土にすぐ達する土壌よりも、カベルネ・ソーヴィヨン向きの水はけの良いところが圧倒的に多いのでしょう。

平均樹齢は約45年で、一部では樹齢100年近いブドウの樹も残っているそうです。平均すると1haあたりに8,500本のブドウの樹が植えられていることになります。

  • 名前の由来にもなった「土塊」の部分。非常に砂利が多い畑です 名前の由来にもなった「土塊」の部分。非常に砂利が多い畑です
  • 畑とグランムートンの全景畑とグランムートンの全景
  • 非常に古いカベルネ・ソーヴィニヨンもありました非常に古いカベルネ・ソーヴィニヨンもありました

「約300人」と大人数での収穫

ブドウの栽培には、必要な時にしか肥料や農薬を使わない「リュット・レゾネ」という方法が取り入れられています。また、現在では多くのシャトーが利用している、“カジェット”と呼ばれる容量の小さい収穫カゴを他に先駆けていち早く用いたのもムートンでした。

ここの収穫の特徴は、収穫に参加する人数が「約300人」と、非常に多いことです。大人数でブドウを素早く収穫し、万が一の雨からの被害を避けるため、人海戦術で一気に作業を進めてしまうのです。選果をしながら手摘みで収穫されたブドウは、カジェットを積み重ねて、潰れないように大切に運ばれます。

醸造所に到着すると、すぐに1番目の選果台へと移されて、選果と除梗された後に、再度選果台へと戻されて2回目の選果が行われます。そうして健全なブドウの粒だけを選り分けた後に破砕して、28基のフレンチオーク製の発酵タンクに入れられます。

ここでも、【マルゴー】と同じように、ステンレスタンクは所有していますが、これを使用するのは一部の果汁のマロラクティック発酵とブレンドの時だけなのだそうです。

ムートンでも近年、一部で低温マセレーションを取り入れていて、果汁によっては18℃で最大2日間の発酵前のマセレーションを行い、ワインの色がより濃いものになるようにしています。

アルコール発酵中は温度を28〜30℃に保ちながら、1日約3回のルモンタージュを繰り返して、発酵が終了すると「3週間」という比較的長めの果皮浸漬を行います。その後フリーランジュース、プレスジュースの中から、全体の約10%に当たる果汁を選び、樽の中でマロラクティック発酵を行います。残りはタンク内で行われます。

その後、最低で80%、ヴィンテージによっては100%のフレンチオークの新樽に入れて、熟成を行っていきます。この樽は自社では作っていませんが、「合計12社」と非常に多彩なバリエーションを持たせているのもムートンの特徴でしょう。

地下樽貯蔵室は壁一面のカビ!

  • 1年目の樽貯蔵室の片隅に、試飲用のピペットが。隣のろうそくは澱引きの際に使用します1年目の樽貯蔵室の片隅に、試飲用のピペットが。隣のろうそくは澱引きの際に使用します
  • 澱引きをしているところ。伝統的にろうそくを使って行っています澱引きをしているところ。伝統的にろうそくを使って行っています
  • 2年目の樽貯蔵室。奥の部屋には1859年からのワインが保管されていて、戦時中に強奪されそうになったとか 2年目の樽貯蔵室。奥の部屋には1859年からのワインが保管されていて、戦時中に強奪されそうになったとか

発酵タンクが並ぶ部屋の隣は、ちょうど1年目の樽貯蔵室になっています。1926年に先代のオーナーのバロン・フィリップ氏によって作られた「横25m、奥行き100m」という巨大な樽貯蔵室は、彼のアートに対するこだわりなのだそうです。非常に面積が大きいため、ここには樽を2段に積み上げなくても合計1,000樽も入れれることが出来るのです。このため、見た目にもすっきりとしていて、とても美しく感じられます。

ここで約6ヶ月間の熟成と2回の澱引きの後にブレンドが行われ、その後、1920年代に作られた、地下にある2年目の樽貯蔵室にワインは移されます。

この地下樽貯蔵室に入ると、真っ先に目に入るのが壁一面に生えているカビです。実際に樽が置かれているところは、壁に特殊な塗料が塗られているために、全くカビは生えていませんが、オーナーのプライベートカーブがあるところなどは、もう壁一面のカビなのです。それだけ湿度が高く、ワインにとって適した環境であることを表しているのですが、初めて見る方にとっては衝撃的な場面かもしれません。

ここでワインは約12ヶ月間の熟成をされます。その間にも3ヶ月に1回の澱引きを行い、卵白によるコラージュが行われます。

ちなみに現在では、この卵白によるコラージュは、EUの法律によって以前のように自由に行えなくなっています。まず申請が必要で、EUからの許可が下りて初めて行うことが出来るのだとか。他の有名シャトーと同様に、ムートンでは2006年も申請を行い、許可が得られたとのことです。

ようやく熟成を終えたワインは瓶詰めされ、世界中のワイン愛好家の手元へ送り出されていくのです。

“アート”という言葉が似合うシャトー

ムートンのワイン作りとは、【マルゴー】【ラフィット】ほどではないにしても、まだオーク製のタンクを使っているあたりなどは、やはり“伝統的”だと言えるかもしれません。

やはり、ムートンを語る上で特筆すべきことは、ワイン作りもさることながら、アートに対して非常に気を使っている点でしょう。醸造所の中にも所々にアートのオブジェが置かれ、建物内には先代のオーナーによって作られた美術館まであるのです。また、まだ自分の目では確かめたことはありませんが、上空からシャトーを見てみると、何と建物が“牡羊の横顔”に見えるように配置されている、というのですから驚きです。

「ワインはアートだ」という人が多いのですが、まさにムートン・ロートシルトこそ“アート”という言葉が一番ぴったりするのかもしれません。

  • オーナーのプライベートカーブ。最も古いボルドーワインは1891年のオー・ブリオンだそうです オーナーのプライベートカーブ。最も古いボルドーワインは1891年のオー・ブリオンだそうです
  • 2003年のラベル。バロン・ナタニエルが購入してから150年周年のため、モデルとなっています2003年のラベル。バロン・ナタニエルが購入してから150年周年のため、モデルとなっています
  • 1953年のラベル。こちらは100周年記念版です1953年のラベル。こちらは100周年記念版です

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