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トップ > メドック地区 第2級のビンテージワイン > シャトー・ブラーヌ・カントナック[シャトー紹介・醸造工程]

シャトー・ブラーヌ・カントナック

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シャトー紹介・醸造工程

有名なリュルトン家が所有する実力派シャトー

ブラーヌ・カントナック
シャトー全景。この中にリュシアン・リュルトン氏が住んでいます [拡大]

マルゴー地区にある“プラトー・ド・カントナック(カントナックの台地、の意)”。その南端に、隣の【カントナック・ブラウン】の派手なシャトーとは対象的に、こじんまりとした印象の2級シャトー・ブラーヌ・カントナックがあります。

ブラーヌ・カントナックは、ボルドーでは有名なリュルトン家が所有するシャトーの一つで、その中でも卓越した品質を誇ることで知られています。シャトー内には、現在のオーナーであるアンリ・リュルトン氏の父にあたり、【クリマンス】や【デュルフォール・ヴィヴァン】など、数々のシャトーを手に入れたことでも有名なリュシアン・リュルトン氏が今でも住んでいます。

それぞれ特徴的な5つの区画

ブラーヌ・カントナック
畑の地質を表した地図。オレンジ色が「タイプ4」で、色々な区画があることが分かります[拡大]

ブラーヌ・カントナックの「90ha」の畑は、5つの区画に大別されます。最も品質的に良いワインが出来るのが、プラトー上にある区画です。最高で「海抜22m」という高さを誇るこの区画は砂利質で、最も深いところでは約12m下にまで粘土に混じりながら砂利があるのだそうです。

シャトー内を案内してくれた総責任者のカドヴィルさんの話では、このような地質のところを“タイプ4”と呼んでいて、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローが植えられています。ブラーヌ・カントナックのワインに使用されるブドウは、主にこの区画からのものになるのだとか。

シャトー裏側は砂を含んだ粘土質で、10年前にカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローに植え替えたばかりの新しい区画です。“ノット”という区画は、15年前に排水工事を行い新しく植え替えたところで、砂利が多くて非常に良い土壌だとか。マルゴー村とアルサック村にまたがる“ヴェルドット”と呼ばれる区画は、砂利と砂が混じっていて、カベルネ・ソーヴィ二ヨンのみが植えられています。

ブラーヌ・カントナック
総責任者のカドヴィルさん。大変気さくな方であり、ワイン作りに関してとても研究熱心な方でした [拡大]

そして最後に、スーサッン村にある“マラン”という区画で栽培されたブドウは、主にセカンドワインに使用されるということでした。

栽培されている品種の比率は、カベルネ・ソーヴィニヨンが65%、メルローが30%、カベルネ・フランが5%。最近、マルゴー地区のシャトーが盛んに栽培するようになってきているプティヴェルドは一切植えていないのだそうです。

カドヴィルさんの話によると、「もともとプティヴェルドはジロンド川に近い水分の多い畑に植えられていた品種であり、現在多くのシャトーが行っているような砂利質の痩せたブドウ畑に植える品種ではないと思っている」とのことでした。

間引きは行わず、収穫も土壌ごとに

現在のオーナーでもあるアンリ・リュルトン氏がこのシャトーを購入した1993年、ブドウ畑に関して真っ先に行ったのが、ブドウの樹の嵩上げだったそうです。全体的に約20cm、そして多いところでは30cmの嵩上げを行ったといいます。

またこのシャトーでは間引きは行っておらず、芽かきの時点で多めに芽を取り除き、収穫制限を行っているそうです。

カドヴィルさんの話では、「間引きをしてしまうと、どうしても次の年にその反動がきて多くの房をつけるため、1回始めてしまうとずっと続けないといけない」 そんな欠点があるのだそうです。そして、間引きには多くの人出が必要になり、当然コストも多くかかります。ブドウの品質とコストの両面から考えて、リスクはあるのですが、ブラーヌ・カントナックでは敢えてこの方法を採用しているということです。

また、“収穫は区画ごとではなく、地質ごとに行っている”というのも大きな特徴でしょう。ブラーヌ・カントナックのブドウ畑は様々な地質を含んでいるため、多いところでは1つの区画の中に4種類もの地質が存在します。このため、同じ区画とはいっても、どうしても収穫時期が異なってしまうのだそうです。

ブラーヌ・カントナック
畑にあるシャトーの看板。奥の方にシャトーが見えています [拡大]
ブラーヌ・カントナック
畑の様子。奥に向かって傾斜しています [拡大]
ブラーヌ・カントナック
シャトーを訪れている時に、ちょうどブドウの苗木が運ばれてきていました [拡大]

いいワインを作るための様々な試み

ブラーヌ・カントナック
収穫されたブドウはまずここに入れられて、重さが量られます [拡大]

ブラーヌ・カントナックでは、収穫の速さを重視するため、他のシャトーのような容量の小さいカジェットは使用せず、比較的大きな収穫カゴでブドウを運んでいます。ブドウの実が完全に熟している場合は、果皮が厚くなっているため、このぐらいの容量であれば潰れることはないのだそうです。

ブドウ畑では選果まで行い、この方法で醸造所まで運びます。その後、除梗前の選果と破砕をしてタンクに運び入れます。

ブラーヌ・カントナック
選果台。ここでは選果は除梗前の1回のみです [拡大]

ここでは除梗後の選果はしていません。除梗機を専門に研究していたというカドヴィルさんにその理由を聞いてみると、「現在の除梗機には適正な量を守ってブドウを入れれば、果梗が残るということはほとんどない」とのこと。逆に、容量の小さいカジェットなどを使用して収穫し、少量ずつ除梗機にかけた時の方が果梗が残りやすいのだそうです。

木製とステンレス製のタンクにブドウが入れられた後、“ターボ・ピジャー”という特別な機器をしながら、低温マセレーションを行います。

その後はアルコール発酵です。アルコール発酵中は、ワインを循環させる「ルモンタージュ」、ワインをタンクから一度抜き取り、粕帽を空気に触れさせることにより、まろやかなタンニンを抽出するための「デレスタージュ」、そしてターボ・ピジャーを使用した「ピジャージュ」などの作業を行っていきます。

ターボ・ピジャージュを使用してのピジャージュに関しては、ブラーヌ・カントナックでは、2000年から新しくこのシステムを取り入れたのだそうです。実は、それ以前の1986年には、ブルゴーニュで使用されていた特殊なピジャージュ機能付のステンレスタンクを導入したのですが、あまり良い効果が得られなかったのだとか。システムを変更してから、以前よりもさらに色素、タンニンの抽出が効率よく行えたということでした。

ブラーヌ・カントナック
木製タンクとステンレスタンク [拡大]
ブラーヌ・カントナック
手前に木製、奥にコンクリート製タンクが。タンク室は3つに分かれています [拡大]
ブラーヌ・カントナック
ピジャージュ機能付のステンレスタンク。上部に粕帽を果汁へ漬け込むための装置が見えます [拡大]
ブラーヌ・カントナック
ターボ・ピジャー。これを粕帽に突き通し、一番下のワインが上部へと運ばれ、粕帽の上へと降りかけられます [拡大]
ブラーヌ・カントナック
樽貯蔵室の様子。スタッフの方が作業中でした [拡大]
ブラーヌ・カントナック
セカンドの樽。いつ澱引きされたかがメモされています [拡大]

アルコール発酵が終了後、果皮浸漬を行います。1993年からは、フリーランワインの中でも優れたものに関しては新樽でマロラクティック発酵を行い(残りはタンク)、プレスワインに関しては1度使用した樽の中で行います。

樽内マロラクティック発酵を始めた初期は、メルローのみを樽内で行っていたそうですが、実験を重ねた結果、樽の種類や焼付けを調整することにより、カベルネ・ソーヴィニヨンでもより効果的だという結果が得られたため、現在ではこちらにも採用しているそうです。ちなみに、樽は合計7社から購入し、焼付けはミディアム。新樽比率は約50〜60%とのことです。

マロラクティック発酵が終了しても、すぐに澱引きは行わず、2ヶ月間シュール・リーを行います。ただしバトナージュ、ミクロビュラージュは行いません。合計18ヶ月間の樽熟成の間に澱引きは行いますが、不定期で行うとのこと。コラージュは伝統的な卵白を使用したやり方です。

これらの全ての過程が終了すると、いよいよ瓶詰めされて出荷の時を迎えます。

地味な印象ながらワインの評価は高い

ブラーヌ・カントナック
試飲ルームの一角。試飲用のワインが用意されていました [拡大]

ブラーヌ・カントナックには、どこかしら少し“マイナー”なイメージがありますが、実際のところ、作っているワインはとても高い評価を得ています。シャトー側も、その品質には自信を持っていますが、宣伝不足だということは感じているそうです。

しかし、無理な宣伝を繰り返して有名になっていくのではなく、地味ながらも良いワインを造り続けてくれれば、いずれは人気が出てくることは間違いないでしょう。“有名な割には美味しくないワイン”よりも、“無名だけど美味しいワイン”が好まれるのは当然のことですから、このままのスタイルを保って欲しいとも思います。

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