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トップ > メドック地区 第2級のビンテージワイン > シャトー・ピション・ロングヴィル・バロン[シャトー紹介・醸造工程]
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シャトー紹介・醸造工程 |
道の両側に次々と有名シャトーが見えてくるため、別名“シャトー街道”とも呼ばれているD2号線。南のサンジュリアンから北上し、ラベルにも記載されていることで有名な【レオヴィル・ラスカーズ】のライオンが座った門を通り過ぎると、前面にポイヤック村の壮大なブドウ畑が飛び込んできます。
サンジュリアン地区と境界線となるジロンド川東側から、1級シャトーの【ラトゥール】、“ポイヤックの貴婦人”と呼ばれている【ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド】、そしてピション・ロングヴィル・バロン、この3つのシャトーが並んでいます。
この一帯は有名シャトーが集まっていることで有名です。ちょうど漢字の「田」の字のように区画が分かれていて、田の字の下側右には2級シャトーの【レオヴィル・ラスカーズ】、その左には同じく2級の【レオヴィル・ポワフェレ】があります。真ん中の横線は、サンジュリアン地区とポイヤック地区の境界線に当たり、上部右側が1級シャトーのラトゥール、そしてその左側がピション・ロングヴィル・バロンの畑という位置関係となっています。
(ちなみに、ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランドのシャトーは、上部右側のラトゥールの区画の左端に建っていますが、その畑は上部左側のピション・ロングヴィル・バロンの区画のさらに左側になります)
この一帯は、境界線のところが谷間となっていて、サンジュリアン側とポイヤック側、どちらの畑もちょうど丘のようになっているのが特徴です。
川に近い土地では、氾濫などが原因となって“自然堤防”と呼ばれる地形が出来上がります。これはまるで堤防を作ったかのように、砂利が川に向かって自然に堆積していったものです。川からほど近いピション・ロングヴィル・バロンの畑にも、当然たくさんの砂利が堆積していて、さらに元々が丘のような地形となっているため、水はけが良く、素晴らしいブドウが育つ環境が整っているのです。
またそれ以外にも、畑に砂利が多く混ざっているというメリットも大きいでしょう。畑にある砂利は、昼間は太陽熱によって暖められ、その熱をブドウに反射させます。しかし、夜になると急激に冷やされ、その冷気をブドウへと反射させるのです。この寒暖の差がブドウにストレスを与え、このストレスが良いブドウを育ててくれるのです。
ピション・ロングヴィル・バロンは合計「70ha」の畑を所有していますが、その半分以上の40haはこのような好立地にあります。“グランヴァン”と呼ばれる、格付け2級のピション・ロングヴィル・バロンのワインは、ほとんどがこの畑から採れたブドウを使って作られていうのです。
栽培比率は、メドックの主要品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンが60%、メルロが35%、カベルネ・フランが4%、プティ・ヴェルドが1%と、いかにもポイヤックのシャトーらしい構成となっていますが、1ha当たりの植樹密度は「9,000本」と非常に高くなっています。
また、平均樹齢を見てみると「30年」と、少し若く感じてしまいますが、それには理由があるのだとか。1987年、アクサ保険のグループ会社である「アクサ・ミレジム」がこのシャトーを買い取り、数年後には、シャトー【ランシュ・バージュ】とシャトー【バタイエ】の近くに、30haの畑を買い増しました。その畑に新たなブドウを植えたため、トータルすると平均樹齢が下がってしまっているのだそうです。
アクサ・ミレジムの買収による影響は、それだけではありませんでした。環境に配慮したブドウ栽培を行い、土壌の個性を大切にしたワイン作りを目指す団体「Terra Vitis」の認証を受けたり、環境マネジメントシステム規格(EMS)の「ISO14001」を取得している数少ないシャトーになりました。“リュット・レゾネ”という減農薬栽培にも積極的に取り組み、環境へ配慮するたけではなく、ワインの品質を高めることにも成功しているのです。
アクサ・ミレジムは、このシャトーを購入したと同時に、ワインの品質向上と作業効率のアップを目指して、醸造所の大幅な改修工事を行いました。
以前は、発酵タンクと樽熟成のための貯蔵庫が別々な建物として独立していましたが、改修後には同じ建物にまとめて配置させました。これは、出来るだけワインの移動を少なくし、ワインにストレスを与えないようにするというためであり、さらにワインが太陽光線に当たらないようにするという配慮でもあります。
またこの改修工事の際に、42基あるステンレスタンクが何と“円形”に配置されるという、非常に珍しい設計となりました。敢えてこのような形としたのにはもちろん理由があります。円の中心部分の地下にはブレンド用のタンクがあり、ここからステンレスタンクとの距離を一定にして、ワインの移動を最小限にとどめる狙いがあるのです。さらに、ワインへの影響が大きいポンプを使わずに、自然の重力によってブレンド用のタンクにワインを搬入させる作業もやりやすくなったのです。
このステンレスタンクを使用して約15日間、28℃〜32℃までの温度でアルコール発酵を続けて、果皮浸漬には20〜30日間と、長めの時間を割くことによって、色素とタンニンを最大限まで引き出すようにしています。
その後、ワインは80%のフレンチオークの新樽に入れられて、3ヶ月に1度の澱引き、卵白を使用したコラージュ(清澄作業)を施しながら15〜18ヶ月間熟成を続けます。最後に自社所有の瓶詰め機械を使っての瓶詰め作業、そして出荷の時を迎えるのです。
ワインの製造方法などに関して言うならば、ピション・ロングヴィル・バロンは特別変わったことをしている訳ではありません。しかし、特徴的なのは、ジロンド川左岸のシャトーの中では数少ない、“樽の中でのマロラクティック発酵”を行っている点でしょう。
マロラクティック発酵とは、乳酸菌の働きによってワインに含まれるリンゴ酸が乳酸に変わる作用のことですが、通常メドックの大規模なシャトーでは、温度管理がしやすいように、これをタンクの中で行うところが多いのです。
シャトーの方にこの点について伺ってみたところ、「樽の中でマロラクティック発酵は、樽香が早く付く以外にも、タンニンの質に良い影響を与えるというメリットがある」ということでした。現在は、まだ全てのワインのマロラクティック発酵を樽内で行っている訳ではないそうですが、完全にこの方法に切り替えるために、2006年春より地下樽貯蔵室を増築する工事が始まるのだそうです。
アクサ・ミレジムがシャトーを所有するようになってから、すでに多大な資本が投資され、数々の改革が行われてきましたが、その挑戦はまだまだ続けられていくようです。これからもますます注目を浴びていくシャトーの一つでしょう。
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