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トップ > メドック地区 第3級のビンテージワイン > シャトー・パルメ[シャトー紹介・醸造工程]
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シャトー紹介・醸造工程 |
マルゴー地区の中心部にあり、格付けは3級でありながら、各批評家から高い評価を受けているのがシャトー・パルメです。パルメのブドウ畑は、900m離れたジロンド川に向かってゆっくりと傾斜していて、その土壌は、マルゴーの特徴であるギュンツ氷期の石英、水晶、玉髄などが混じった砂利質です。【マルゴー】【ローザン・セグラ】が隣接する、ブドウ栽培に適した適した場所に位置しています。
パルメの畑では、とても珍しい品種構成でブドウが植えられています。主要品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンが畑の47%を占めているのですが、それと同量の、47%ものメルローが植えられているのです。これがパルメのワイン独特のまろやかさを生み出す理由の一つとなっています。
残りの6%はプティ・ヴェルド。ワインに深い色とスパイシーな香りを与えてくれる代わりに、成熟するのが難しいのがこの品種の特徴ですが、96年まで残っていたカベルネ・フランを全て伐採して、全てをこの品種に植え替えたそうです。
パルメの畑の、1年目の樽貯蔵室のすぐ隣の区画では、ブドウの木に赤い目印がつけられているのが目に付きました。シャトーの方にその意味を伺ったところ、“メルローの区画にカベルネ・ソーヴィニヨンが混じっているため、収穫時期に混入しないように目印をしている”とのこと。
過去のボルドーでは、このような混植は珍しいことではなかったと聞きます。ボルドー産ワインが“ブレンドのワイン”と呼ばれるのも、こういった混植のためだという説もあるぐらいなのです。
しかし、現在のボルドーでは、品種別だけではなく区画ごとに醸造することで、ブレンドの際により良いワインのみを選び出す方法が主流となってきています。このため、このような混植をしている畑はほとんど見かけなくなってきました。しかしパルメでは、新しい畑ではもちろん混植はありませんが、古い区画の一部では敢えてこの状態を残しています。しっかりと目印をつけて区別しながら収穫を行えば、いいブドウが採れるのだから無理をすることはない、という考え方でしょう。
パルメの平均樹齢は「35年」ということですが、他のシャトーでも見られるように、ここでも大幅にブドウ畑の植え替えを行っているため、平均値が下がっているだけのことで、シャトー・パルメに使用される区画の平均樹齢はもっと高いのだそうです。
さらに、パルメの畑で特徴的なのは、「1ha当たり1万本」と、植樹密度を高くしていることでしょう。敢えて狭い場所に多くを植えることでブドウの木に競争をさせて、より地中深くまで根を伸ばさせるための工夫をしているのです。
パルメでのブドウの収穫の手順ですが、まず120人の参加者が3週間かけて収穫を行っていきます。収穫されたブドウは、実が潰れないように10kg入りの収穫カゴに入れられ、それを積み重ねたトラクターで醸造所まで運ばれ、新しく導入された2列4台の選果台へと入れられていきます。
実は、2004年の収穫時期に訪問した際には、ブドウ畑の中で選果を行い、トラクターの荷台にまとめてブドウを積んで醸造所まで運んでいたのですが、この方法だと、上に詰まれたブドウの重みで下のブドウが潰れてしまい、タンクに入れられる前にブドウの果汁がボタボタと落ちている光景が見られました。
その時に、係りの方と「あれはかなりなロスになりますし、衛生上の問題も出てくるかも知れませんね」というようなお話をさせていただいていたのですが、2005年の収穫時期になると、醸造所のすぐ外に新しい選果台を設置するなど、それも改善されていました。
1回目の選果では、収穫時に混入してしまったブドウの葉、不良果、病果などを取り除いていきます。除梗機にかけられた後、取りきれなかった果梗や切れてしまった果梗を手作業で除く2回目の選果を行います。それから、ブドウを潰す破砕樹にかけて、ポンプを使ってタンクに送り込む仕組みとなっています。
醸造所に入って真っ先に目に飛び込んでくるのが、ピカピカに光った“台形型”のステンレスタンクです。以前は木製タンクを使用していましたが、1995年から入れ替えを行い、現在では「49基」を所有するまでに増えました。
タンクの数だけを数えてみると49基には満たないのですが、一部のタンクの内部が2層に分けられているため、合計すると49基になるのです。ブドウ畑が52haであるのに対してタンクが49基と、ほぼ1haに対して1基のタンクとなり、それだけ細かな区画毎の醸造を行っている証でしょう。
また「台形型」というタンクの形もユニークです。この型のステンレスタンクは最近導入され始めたものですが、現在のところパルメと【ラトゥール】が設置しているだけなのです。
このタンクの利点は、やはりその形にあります。元々、昔から使用されてきた木製タンクは、組み立ての構造上、ほぼ全てが台形型でした。時代はコンクリートのタンク、ステンレスのタンクと移っていったのですが、どちらも上部と下部の幅が同じの胴型です。つまり、タンクの型などそれほど重要視されていなかったのですが、最近になって台形型の利点が再発見されたのです。
アルコール発酵中には、炭酸ガスのためにブドウの実、果皮、種からなる粕帽が上に押し上げられるのですが、胴型のタンクでは粕帽の上部が乾いてしまい、異常な発酵が始まることがあるのです。しかし、台形型の場合、上部が狭くなっていて最上部までは上がらないため、果汁の一部が上部に残り、こうした弊害が防げるのです。
また、もう一つのメリットは、“ルモンタージュ”と呼ばれる作業中に現れます。これは、色素とタンニンを抽出するため、また酵母に酸素を供給するため、粕帽の上部を乾かさないようにするためといった目的で行われる、タンク下部からワインを抜き取り、ポンプなどを使って上部から粕帽の上にシャワーのように振り掛けるという作業のことです。
下部からワインを抜き取った際には、液面が低下するために粕帽が下へ下がってくるのですが、胴型のタンクの場合はその形状を保ったまま下がってきてしまいます。一方、台形型の場合では、下部に行くほど広がっているために、ちょうど粕帽がほぐされたような形になって、粕帽の全体に満遍なくワインが当たります。このため、より色素とタンニンの抽出がより効率的に行うことができるのです。
この台形型ステンレスタンクを使用して、28℃の温度で20日間のアルコール発酵と果皮浸漬を行った後、果汁を別のタンクに移しかえて、マロラクティック発酵を行います。
この工程が終了後、シャトー・パルメ用のワインは55%の新樽と45%の1回使用した樽に入れられ、3ヶ月に1度の澱引きと1回の卵白によりコラージュ(清澄作業)をしながら、約21ヶ月間の熟成を行っていくのです。
シャトー・パルメのワインがあまりにも有名な存在となっているため、その影に隠れてしまっている感じの「アルテ・エゴ・ド・シャトー・パルメ(“もう一つのシャトー・パルメ”の意)」。これに関して、シャトーの方に詳しくお話を伺ったことがありました。
私が「このパルメのセカンドは…、」と話を始めたところ、それを遮るように「アルテ・エゴはセカンドではありません」とピシャリと言われてしまったのです。
シャトー・パルメでは、1997年まで「ラ・レゼルブ・ド・ジェネラル」というセカンドワインを確かに作っていました。しかし、このラベルは消滅し、その代わりのように出てきたのがアルテ・エゴだったのです。何故セカンドだと認めないのでしょうか?
シャトーの方の話では、セカンドワインを作っていた1997年までは、全体の生産量の80%がシャトー・パルメになり、10%がセカンドワインに、残りの10%は“ネゴシアン”と呼ばれるワイン商に販売していたそうです。しかし、アルテ・エゴを作る際にこの比率を一変させて、シャトー・パルメが50%、アルテ・エゴが40%、そして10%がネゴシアンという割合にしたといいます。
つまり、1997年までシャトー・パルメに使用していたワインの中から、品質が悪いものではなく、早く飲み頃に達するであろうと判断されたワインをブレンドしたものがアルテ・エゴであるという自負の表れなのです。以前、セカンドワインを作っていた際に使用していたような品質レベルのワインは、そのままネゴシアンに販売をしているのですから、決して彼らはアルテ・エゴをセカンドワインとは呼ばないのだそうです。
一般的に、セカンドワインとは、“グランヴァンになれなかった品質が劣るワイン”ものというイメージがありますが、そう考えると確かにアルテ・エゴには当てはまらないことになります。アルテ・エゴに対しては、発酵前の低温マセレーションも行ってフルーティさを出すなど、独自のワインとして大事に育てているのです。
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