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トップ > サンテミリオン地区 第1特別級Bのビンテージワイン > シャトー・ベレール[シャトー紹介・醸造工程]

シャトー・ベレール

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シャトー紹介・醸造工程

有名シャトーに挟まれて

ベレール
ベレールのシャトー全景 [拡大]

サンテミリオンのコート南側は、【シュヴァル・ブラン】と並んで“1級A”に格付けされている【オーゾンヌ】がある一帯です。さらに、“1級B”の格付けですが、ポムロールの有名シャトー【ペトリュス】も所有しているジャン・ピエール・ムエックス社の傘下で、【オーゾンヌ】を猛追していることでも知られている【マグドレーヌ】があります。

そして、その2つの有名シャトーの間にあるのが、“1級B”であるシャトー・ベレールです。

ベレールは、恐らくサンテミリオン地区で最も古い歴史を持つ由緒あるシャトーであり、ワインの品質の高さは同地区でも常にトップクラスを誇ってきました。ベルナール・ジネステ氏がベレールについて“サンテミリオンの丘陵斜面にあるラフィット・ロートシルト”と称していたことは、日本でも良く知られている事実です。

新しい栽培方法「エコディナミ」を採用

ベレールのブドウ畑は合計「12.5ha」で、大きく2つの部分に分かれています。

一つはサンテミリオンのコートの上側にある部分。この部分の土壌は、下層に粘土質石灰岩があり、表土は砂・粘土が混じった層というものです。

ベレール
ブドウ畑の様子。ピンクがメルロー、黄土色がカベルネ・フランを表しています [拡大]

そしてもう一つは、コートの斜面にある部分で、シャトーの南側に広がっています。土壌は非常にバラエティに富んでおり、砂やシルトとカスティヨンの粘土(石灰岩が含まれる粘土)、モラッセ(軟質の石灰岩)が混じったものです。

ブドウ畑の40%がこの部分にあり、ここでは有機栽培の上に、土壌の活力を発揮させるため、月の満ち欠けなどを参考にして選定や収穫の時期などを決定する「ビオディナミ」という農法と、減農薬栽培法の「リュット・レゾネ」、この中間に当たる「エコディナミ」という新しい栽培方法を取り入れています。

この農法は、有機栽培である「ビオロジック」と似ているのですが、農作業の時期を月の満ち欠けや惑星の動きを参考にして決定している点が異なります(ビオロジックはこれを行いません)。また一般的なビオディナミを行う際に使用されるプレパラシヨン(もしくはプレパラート)ではなく、植物から摂取した成分を独自の方法で生成した調合剤を配布しているのだそうです。

この2つの区画には、合計80%のメルロー、20%のカベルネ・フランを植えています。平均樹齢は40年となっていますが、中には1900年からあるというブドウの老木も残っているのだそうです。

ベレール
コートの斜面側にある区画。正面下側にはパヴィが、右手の木に隠れラ・ガフリエールのシャトーが見えます [拡大]
ベレール
斜面の区画は、砂やシルトとカスティヨンの粘土、モラッセが混じった土壌です [拡大]
ベレール
すぐ隣にはオーゾンヌのシャトーが見えています [拡大]

醸造所までもが石切り場跡に

手摘みで収穫されたブドウは、容量の小さいカジェットに入れられ、醸造所まで運ばれます。ベレールではこのカジェットを1989年から使用していて、この地区では一番最初に取り入れたシャトーなのだそうです。

醸造所前まで運ばれたブドウは、ここで除梗前と後の2回の選果が行われます。使用しているベルトコンベア式の選果台は1979年に導入されたもので、これもこの地区では最も早かったのだとか。

その後ブドウは、ポンプを一切使用せずにベルトコンベアでタンク上部へと運ばれて、破砕をしてから、合計14基あるステンレスタンクの中に入れられて、発酵の工程へと移ります。

ベレールの醸造所で特筆すべき点は、醸造所でもサンテミリオン特有の石灰岩の石切り場跡を利用しているということでしょう。通常のシャトーでは、石切り場の跡を樽貯蔵室として使用しているのですが、ベレールでは樽貯蔵室だけでなく、醸造所まで石切り場の跡に設置しているのです。これは数あるサンテミリオンのシャトーの中でも唯一このベレールだけです。この石切り場の跡は、年間通してほぼ11.5度、湿度95%に保たれる、非常に安定した環境を生み出してくれているのだそうです。

ベレール
ベルトコンベア式の選果台。雨天でも作業できるように屋根がついています [拡大]
ベレール
最初の選果が終了した後、このベルトコンベアで除梗機まで運ばれていきます [拡大]
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石切り場跡にあるステンレスタンク。タンクはどれも背が低くて幅広く、容量が小さくもの [拡大]

ユニークな手法を次々と採用

アルコール発酵は、全て自然酵母で行われます。2004年からは“ヘリコピジャール”という新しい機械を使用して、発酵中のブドウの粒をかき混ぜていく方法が採用されています。この機械は「アルキメデスの法則」を応用しているもので、これによって色素とタンニンがより優しく抽出でき、香りもより一層良くなるのだそうです。

また、もう一つユニークな点としては、“ルモンタージュ”と呼ばれる発酵中のワインの循環も、1990年からはポンプを一切使用せず、重力のみで行っていることでしょう。

ルモンタージュとは、発酵中のワインをタンク下部から抜き取り、発酵中に出る二酸化炭素によって持ち上げられた“粕帽”と呼ばれるブドウの果皮、種子、果肉の塊の上部に、ポンプを使用して上げたワインをシャワーのようにかける作業のことです。これをおこなうことにより、より一層、色素とタンニンの抽出を図るのです。

この過程では、通常ならばポンプを使わなければいけないものなのですが、ベレールでは特殊な機械を設置していて、これを重力のみで行っているというのです。これも他のシャトーでは見られない独特のテクニックだと言えるでしょう。

アルコール発酵が終了した後、別のタンクに移し変えてマロラクティック発酵を行い、終了後、樽の中に移して合計18ヶ月間の熟成を行います。最初の6ヶ月間は、発酵タンクがあるのと同じ部屋にある樽貯蔵室で熟成を行い、3ヶ月に1度の澱引きを行っていきます。

そして6ヵ月後、樽は発酵タンクが設置されているところよりも、さらに奥にある石切り場の跡の中で12ヶ月間の熟成が行われます。ここに移されてからは、澱引きは6ヶ月に1回となります。コラージュも卵白を使用した伝統的な方法で行われ、最後に瓶詰め作業が行われます。

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ヘリコピジャール。アルコール発酵中にタンクまでこれを運び、上からこの機械を差込んでブドウ粒をかき混ぜます [拡大]
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ルモンタージュの際、重力でこの地下タンクへとワインを移し、クレーンでタンクごと持ち上げて戻します [拡大]
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ルモンタージュ用のタンクを持ち上げるクレーン [拡大]
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上の絵がルモンタージュの説明で、下の左が粕帽を取り出す時の様子。右が圧搾の様子です [拡大]
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樽貯蔵室。ここももちろん石切り場跡を使用しています [拡大]
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樽貯蔵室は、樽だけではなく、瓶ワインの熟成にも使われています [拡大]

品質の割には値段も低めに

ベレールの特徴は、作業工程の随所に、他では見られないようなユニークな方法が取り入れられているところでしょう。1990年というから非常に早い時期から、重力でルモンタージュを行うためにわざわざそれ専用の機械を設置したり、ヘリコピジャールという珍しい機械を導入したりと、独自の路線を進んでいるように見受けられます。

著名なワイン評論家のロバート・パーカー氏の好みに合わないためか、今ひとつの評価とされていて、決して値段は高くありません。しかし、畑の位置や造り手の技術などを考えると、今後、このシャトーの人気が急上昇する可能性も高いと言えるでしょう。

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